データサイエンティスト新卒就活でkaggleの実績は無駄か?

「データサイエンティストの新卒就活においてkaggleはどの程度やるべきなのか」

「ネット上で実務とはかけ離れた内容なのでやる必要はないという意見を見るけど本当?」

そんなお悩みを解決します。

なぜネット上でkaggleは無駄と言われるのか

まずなぜネット上でkaggleは無駄という意見を多く見かけるのか原因を解説します。それは実務における業務フローのうちkaggleはあくまで一部分に過ぎないからです。実際にデータサイエンティストとして働いていた立場から見てもこれは正しい意見です。

kaggleでは綺麗なデータを用意されてそれを元にして分析を行うことになります。しかし業務においては様々な他の変数が入ってきます。本来は多くの変数を業務では考慮する必要があるのに他の変数をそぎ落として予測の正確性を競っているコンテストだからこそ業務とは違うという意見があるのです。例えば業務において考慮すべき変数として以下のものがあります。

・費やす人件費。短い時間で多くのリターンを出した方が良い。kaggleにおいては時間を使い放題なのでこの前提が抜けている。

・ステークホルダーの感情。ただ冷静に黙々と分析をしているだけではなく周りの合意を得ながら円滑にデータ分析を進めることが会社内では大事。

・データを揃えるための社内調整。kaggleで扱うぐらい綺麗なデータに整えるまでが一番大変なところ。

上記のように業務においては人間臭く泥臭い作業がとても多いです。そして優秀なデータサイエンティストと言われる人は分析スキルのみでなくこういった一般的なビジネスマンと同じようなポイントをうまくできる人です。

なので実務を知っている人からするとkaggleができても所詮机の上でのお勉強ができる人だよねという認識の人もいるのです。

新卒採用で技術力アピールに使える他の選択肢との比較

ではkaggleをやったとしてもやはり実務には結びつかないし意味はないのでしょうか。少なくとも新卒就活において私はそうは思いません。なぜなら社会人のように実務を経験することはできない以上、社会人の業務の一部である分析にフォーカスして勉強をすることは他の選択肢に比べれば効率的なこともあるからです。

就活において最低限の技術力のアピールを企業にする必要がありますがそのための実績を作る場所は非常に限られています。社会人であれば今携わっているプロジェクトに全力を注ぐことで転職を有利に進めることができるようになりますが、新卒就活生の場合は他の選択肢が限られている以上相対的にkaggleが有効な選択肢たりうるのです。

研究との比較

実績作りとして真っ先に思い浮かぶのは大学の研究でしょう。しかしデータサイエンティスト志望の学生の中には文系かつ学部生の方もたくさんいます。この場合は大学にどんなに掛け合ってもデータサイエンスの専門的な研究をさせてもらうことはできません。社会人であれば部署移動や転職などの様々な選択肢がありますが大学生にはこういった選択ができないのです。

ではどのようにスキルを証明すれば良いのでしょうか。そうですkaggleです。誰でも参加できて評価指標も明確なこのコンペは不自由な大学生という身分であっても自身の実力を証明することができるのです。その意味で新卒就活までに実績を作りたいという人にとっては有効な手段です。

長期インターンとの比較

就活までに実績を作る手段として長期インターンに参加するというものもあります。この長期インターンは企業へのアピールとしてとても強いです。実務の中で成果を出すということなので入社後の活躍が想像できるからです。

しかし人気の長期インターンに参加すること自体が理系の大学院生の特権のようになっているところもあります。人気企業のインターンに行ってみるとすでに大学で高度な専門性を身につけている人がその専門性をアウトプットする場として使っていることがわかります。つまり文系の学部生から逆転するための手段ではなく強い人がさらに強くなるための手段なのです。

そんな中で大した実績も出せずに長期インターンをやはり諦めてしまうような人もたくさんいます。文系でなくても理系の人でもインターンシップが辛いと思う人は意外と多いです。

そこでkaggleを使えばマイペースに勉強しながら進めることができるので快適です。また地方の人は近くに長期インターンに参加できる場所がないということも悩みとして挙げられます。kaggleの場合はどこにいてもデータサイエンスの力を発揮することができるのでこの点でも優れています。

データサイエンス専門大学院への進学との比較

データサイエンスの専門大学院に進むことを考える人もいます。 このための大学院入試の勉強と比べるといかがでしょうか。ケースバイケースですが、それよりもkaggleが有効な場合もあります。

例えば、

・経済的な理由で大学院に行けない場合

・早く社会に出たいので学部卒での就職を望んでいる場合

こういった場合は、kaggleに就活までに取り組んで実績を残す方が良いこともあるでしょう。就職を希望している企業によってはkaggleだけではなく大学院の修了が必須なこともあるので、確認した上で最適な方を選びましょう。

kaggleはやるべき

ネット上でkaggleは無駄という意見をよく見ますがこれは少なくとも新卒就活生にとっては当てはまりません。もちろん研究や長期インターンを通してkaggleよりも実践的なスキルを身につけつつ実績を出すことができる人であればそちらに注力してもいいでしょう。自分に与えられた機会に感謝しつつ存分にその機会を活かしてください。ただそうでない人にとっては自分の実力の証明手段に悩むことになります。そこで有効なのがkaggleなのです。

社会人で本当に実務に深く携わっている人から見るとkaggleはもしかしたら業務に時間を費やすよりも無駄だと感じるのかもしれません。しかし大事なのは他の選択肢と比較してその立場ごとに考えることなのです。

長期インターンにおける先が読めない実務とは違って勉強すればするほど成果がついてくるようなコンペなので、kaggleで実績を作って就活を有利に進めましょう。

目指すは銅メダル

kaggleでどの程度のレベルまで行けば企業に対してアピールできますかという質問をよく受けます。結論銅メダルを取れるぐらいになりましょう。そうすれば最低限機械学習や統計学の素養があることが分かります。もちろんそれ以上行ければ行ってもいいのですがあまりkaggleに必要以上に時間をかけるのもよくありません。就活においては企業の短期インターンシップに参加することで早期選考ルートに乗ることができたりするので、kaggleに膨大な時間を費やすよりは就活の面接対策などを行った方が良いでしょう。あくまで最低限の技術があることの証明手段としてkaggleを有効活用してください。

タイトルとURLをコピーしました