「機械学習エンジニアとかアナリストとか色々な分類があると聞くけどいまいちよくわかっていない」
「データサイエンティストはどんな仕事をしているの?」
そんなお悩みを解決します。
データサイエンティストの仕事は非常に多岐に渡ります。データサイエンティスト職の人が増えたことで仕事の細分化が進み複雑化してきています。
データサイエンティストになろうとしている人はまずどんな種類のデータサイエンティストが存在するのかを把握した上で自分に合った仕事を選ぶことが大事です。
この記事を読むことでデータサイエンティストという漠然とした仕事内容がもっと解像度高くわかるようになるでしょう。
データサイエンティストをスキル軸で細分化すると3つある
データサイエンティストに一般的に必要とされる3つのスキルについてご存知でしょうか。ビジネス力と数学力とプログラミング力です。このどの能力に優れているのかによって3つのタイプがあります。このことは以下の記事でも解説しています。
自分が以下の図のどこに配置される人材なのかをデータサイエンティストはみんななんとなくわかっています。
引用元:https://www.datascientist.or.jp/symp/2021/pdf/20211116_1400-1600_skill.pdf
強みを持つ分野によって呼び名が変わります。
以下では、それぞれの分野に強みを持つ人の具体的な仕事内容や一般的な呼び名、必要なスキルを説明します。
それぞれの仕事内容と必要なスキル
スキルの軸でどこに強みを持つのかによって仕事の内容は異なります。前提として仕事の呼び名に厳密な定義はありません。会社ごとに異なってくるのであくまで目安として考えてください。
ビジネス力に強みを持つ人
ビジネス力に強みを持つ人について解説します。
呼び名
一般的にはアナリストやコンサルタントと言われる仕事に従事している人が多いです。プロジェクトマネージャーと呼ばれている人もここにあたります。
働く場所
コンサルやデータ分析マーケティングの専門企業にいる人が多いです。具体的な企業名をあげるとアナリストはインテージグループやマクロミルなどの会社に在籍しています。顧客に対してプレゼン資料を作成して分析結果を発表する必要があることから選考フローでもこういったプレゼン選考が課されることで有名です。学者的な働き方ではなく、いわゆるビジネスマン的な働き方になります。顧客企業に利益をもたらすための意識が大事です。
コンサルタントの場合はコンサルティング会社で働くことが多いです。またシステムインテグレーターの中にもこういった人はいます。若干例外的ですがサイバーエージェントのように自社事業も行いつつ受託事業も行うという会社では受託事業の事業部にはコンサルタントやアナリスト系の仕事を行う人もいます。会社ごとの軸というよりは部署ごとに決まってくるので、その会社にどんな部署があるのかはちゃんとリサーチしておきましょう。データサイエンティスト人材は社内で他部署に行くこともできることが多いですが、実際は3年スパンでの社内移動となります。あなたが今24歳なら、3年後は27歳です。経験できる部署は30歳までに2つです。今思っている以上に、初期配属の部署であなたのキャリア全体が決まってきてしまいます。受託と自社事業のどちらに携わりたいのか含めて、入社後のキャリアや働き方を想像できる会社に入ることが大事です。
仕事内容
アナリストの仕事内容としてはお客さんのビジネス課題をヒアリングして、資料のリサーチと分析でそれを解決することです。例えばお客さんがマーケティングについて悩みを抱えていたとします。どんな年代に広告を打てばいいのかわからないという悩みであれば、年代ごとの広告の効果測定をすることになります。実際の案件では年代以外にも多数の変数があり実際のデータとも照らし合わせながら、分析手法の提案からアクションの立案まで行うことになります。
コンサルタントの場合は案件にもよりますがお客さん企業のシステムを実装するところまで入ったりすることもあります。純粋な分析や数学的な業務を行いたいというのであればコンサルタントよりもアナリストの方が数学色が強くなります。
どちらの場合も顧客のビジネス課題を深く理解することが必須であり一般的な総合職の人と同じようなビジネスコミュニケーションが求められます。プロジェクトマネージャーぐらいになると、もはや分析というよりはマネジメントが仕事になってきます。
必要なスキル
ビジネス系の能力が高くなるためには実務経験の中で利益を出そうと努力する経験が必須です。机の上の勉強では一番到達しにくいのがこのビジネス系のデータサイエンティストです。
就活の時点で必要となるスキルは一般的な総合職採用と変わりません。ビジネス上でストレスなくコミュニケーションが取れそうなことやエントリーシートから見えるドキュメンテーション能力などが見られます。
技術力についてはポテンシャルは間違いなく見られますが入社時点で高い水準を求められることはありません。特にコンサルであればロジカルシンキングなどの別の素養の方が必要になります。就活対策においては、一般的な就活能力を高い水準で仕上げる必要があります。また、コーディングテストが課されるところも多いので、技術力ももちろん一定水準に達していることが大事です。例えば24卒のアクセンチュア本選考でも、2時間以上のコーディングテストが課されています。年々新卒DS就活生に求められる技術スキルは、ビジネス系のDSにおいても上がってきています。
数学力(上の表でいう「データサイエンス」)に強みを持つ人
続いて数学力に強みを持つ人について説明します。
呼び名
こちらもアナリストと呼ばれることは多いです。また単なるエンジニアとの対比で機械学習エンジニアと呼ばれる人もいます。
働く場所
こちらは少数精鋭で技術力のある会社に勤める人が多いです。エクサウィザーズなどはこういった人材が多い印象があります。大手企業の中にもこういった人材は存在しますが専門性の高い企業の中が多いです。高度な分析手法を理解できるだけの周りのレベルの高さは必須なので理系が多いような職場で数学を活かす人が多いです。
仕事内容
仕事内容は大学時代の研究を活かした機械学習のモデル作りだったり、専門性をゴリゴリ活かせる領域です。人によってエンジニアリングと兼ねる人もいればビジネス系のコンサルタントと兼ねる人もいます。数学単体で活かしているという人はあまりいない印象です。何らかの実務的スキルを持った上でプラスアルファの価値提供として数学力が存在するイメージです。
必要なスキル
大学院でやるレベルの高度な数学力が必要になります。注意したいこととして、数学ができるというだけではなくある程度の実装ができることも必要とされます。
プログラミング力(上の表でいう「データエンジニアリング」)に強みを持つ人
プログラミング力が強い人材について説明します。
呼び名
データアーキテクトやデータエンジニアという呼び名で呼ばれます。
働く場所
様々な企業に存在しています。事業会社にもコンサル会社にも存在している仕事で人数的にも多いです。大規模なプロジェクトになるとやはり手を動かしてプログラミングができる人材がたくさん必要とされるため企業側からの採用人数も多いです。
どの職種を目指そうか悩んでいる人はまずこの職種を目指してみることをおすすめします。ビジネススキルと合わせればitコンサルタントとして働くこともできますし数学力と合わせれば機械学習エンジニアとして働くことができます。3つのスキルの中で最もデータサイエンティスト界で幅広く汎用性のある選択肢を取れるものだと思っています。
仕事内容
仕事内容はデータをやり取りするためのシステムを作ったりプログラミング周りの仕事をすることが多いです。人によってはデータアーキテクトのマネジメントをする人もいて様々です。
データ分析を効率的に行うために必要なデータパイプラインの設計をする人もいれば大規模なデータセットを処理するためのクラスタ環境の構築をする人もいます。
最新のクラウドについても知識を活かして適宜導入できることは必須です。
必要なスキル
プログラミング能力が必須です。PythonやSQLの能力が前提として、その他の言語についても幅広く知っていると参加できるプロジェクトの幅が広がります。
新卒就活でどれを選ぶのがいいか
新卒就活をしている人からどの進路を選べばいいのかをよく聞かれるのでここで簡単に解説をします。
原則:強みを活かす
まず大事な原則をお伝えすると強みを生かすことが大事です。データサイエンスの世界は正直才能もかなり大事な要素です。数学力については特に生まれつきの素養が物を言う部分は正直めちゃくちゃあります。限られた時間で学習を進めなければいけないことを考えると自分の頭に入りやすい分野を選んだ方が良いでしょう。
その意味で人と接してコミュニケーションをとりビジネス課題について把握することが好きであればビジネス系を選べば良いと思います。数学に自信があるのならアナリストを選べば良いと思います。プログラミングに自信があるのならデータエンジニアが良いでしょう。自分の強みを把握してそれに基づいてキャリアを形成する方がその時代だけのトレンドにとらわれるよりも長期的に良い成果を生みます。
迷ったらプログラミング系
とはいえどの分野に自分の強みがあるかわからない人やどれも同じぐらいできるという人も多いでしょう。そういった人にはプログラミング系をおすすめします。
プログラミングは手を動かして実装ができるので成果物が明確です。なので転職を挟んでも実力通りの評価が得られることも多いです。逆にビジネス系はどうしてもクライアントによってやることが大きく変わってきたりプロジェクト内容によってばらつきが大きすぎて実力をうまく発揮できないプロジェクトにぶち当たることも結構多いです。
もちろんプログラミング系を選んだから完全に実力を評価してもらえるというわけではありませんが、若いうちにプログラミングをやっておくことで長期的に得ができる機械は多いと感じます。例えばプログラミングに精通していることでDX案件のようなデータサイエンティストど真ん中ではないけれども近年ニーズが増している分野に近づくこともできる機会がありますし、できる仕事の幅が広がります。
今のところどの仕事をしたいか迷っていてまだ選択肢を残しておきたいという人にとってプログラミングは他のスキルとの掛け合わせで横移動がしやすいため長期でのキャリア形成の選択肢を残すことができるのです。
転職の際もアナリストの数学のスキルは計測することがなかなか難しいですがプログラミング経験についてはどの言語を何年間やっていたかという形で明確で転職先に示すことができるので客観的に評価を受けることができます。
様々なプロジェクトに配属される可能性がある点や他のスキルとの掛け合わせが容易な点からプログラミングを身につけることがおすすめです。
特にコンサルがおすすめ
ではそういったプログラミング系のデータサイエンティストをまずは目指すことを考えるとどこに進むのが一番効率が良いのでしょうか。
結論としてはコンサルに行くのがおすすめです。以下の記事でこのことは深く説明しています。
以下でコンサルがおすすめな理由を軽く説明します。
まず労働時間がそこそこ長いため短期間で密度濃く成長ができます。家に帰る時間は夜の10時を過ぎることも多いかもしれませんが、それでも仕事をしたいという人には非常におすすめができる選択肢です。逆にホワイト企業を求める人はコンサル業界は志望業界から外した方が良いでしょう。ホワイトさんを求める人はNTT系列の会社などがおすすめです。
実力に応じて昇進も早いため20代でたくさん成長をするために責任あるポジションにつきたい人には向いています。20代のうちにマネージャーになる人もたくさんいますし、そういった人は今後の転職市場でも引く手はまたの状態になっています。日本の大手企業でぬるま湯に使ってる人との差は30歳になる時点ではかなり開いています。
プロフェッショナルとして若い人でも見られるので裁量権があって仕事も事業会社に比べて面白いものが多いです。コンサルティングファームは日本の大企業のような縦社会というよりは実力主義の社会なので、若いうちの下積みが短いのが良い点です。
転職市場でも人気があり事業会社への転職も容易です。
また、給料が高く30歳近くで1000万円ぐらい行く会社も珍しくはありません。
外資系のコンサルティングファームの場合は世界各国に散らばっているノウハウが会社内で共有されているので最先端の技術を学ぶことができます。
上記の点から、コンサルティング会社は非常におすすめです。