「データサイエンティストはやめとけ」と言われるのはなぜ?実体験から解説

なりたい職業としてたびたび挙げられるデータサイエンティスト。情報技術の発展により蓄積されているビッグデータを分析して、商品の傾向をつかみ取り、企業の発展に貢献する重要な職業です。

しかしそんなデータサイエンティストですが、ネットで検索してみると「つらいからやめとけ」という声やサイトが多くヒットします。

「データサイエンティストを目指していたけれど、やめるべき?」

「データサイエンティストはなぜやめとけと言われるの?」

「データサイエンティストになりたいなら、どんなスキルを身に着ければいいの?」

今回は上記のような悩みを持つ人に向けて、データサイエンティストはやめとくべきと言われる理由を解説します。

データサイエンティストはやめとけと言われる理由1

データサイエンティストをやめとけと言われる理由の1つめは、「仕事内容のイメージと現実の違い」です。

皆さんはどのような理由でデータサイエンティストを目指したのでしょうか?

・数学を活かして仕事ができるから

・プログラミングスキルを活用できるから

・高度の専門性が身に付くから

上記のような理由で目指す人も多いかもしれません。しかし、現実として上記が満たされる職場は少数です。順に解説していきます。

データサイエンティストは数学を活かして仕事ができるか

データサイエンティストというと数学を活かして仕事をしているイメージを持つ人が多いでしょう。実際それは間違ってはいません。データサイエンティストは一般的なサラリーマンの中では数学を多く使っていますし、一部の方は研究者並みの数学を使っている方もいます。

しかし留意して欲しいのは世の中でデータサイエンティストとして働いている人の業務は、想像の何倍も泥臭いという事実です。この点に落胆する人も多いでしょうが将来的な職業選びを誤ってほしくないのであえて素直に書こうと思います。

理由は単純で、データを使うにはいくつもの工程を経なければならないからです。 例えば、データの収集から困難にぶち当たることが多いです。 他の部署の人がデータをくれないことや、 せっかくもらったデータが、汚いために前処理に膨大な時間を使うと言うこともザラです。 かっこいいデータ分析作業はあくまで一部であり、仕事の大半は泥臭い作業になってしまうのです。

そこまでして必死にデータをかき集めたとしても、いわゆるデータサイエンティストっぽい高度な分析ができるとは限らないのです。企業において大事なのは周りの人を納得させることです。理解できないことに納得する人はいないので、高度な数学を用いても「何を言っているの」と言われてお終いになってしまいます。なので社内で使う数学のレベルも下げざるを得ないというのが実情です。

データサイエンティストは、ビジネスマンである以上、周りの人を納得させることの方が高度な手法を使うことよりも重要なのです。 もし高度な手法をそれでも使いたいと言うのであれば、その手法を使うことによって、利益が生まれることを周りに説明しなければいけません。 ただ、技術力が高いと言うだけではなく、業務の計画について、きちんと社内政治ができる力がとても大事です。

もちろん企業によって、周りのレベルが高いところでは数学力を発揮できます。具体的には、ブレインパッドやアクセンチュア、エクサウィザーズなどの専門企業では高度な数学が必須になります。

データサイエンティストはプログラミングスキルを活用できるか

次にプログラミングスキルを活かせるかどうかという問題です。この点についてはどこの企業に所属するかが大きく影響します。プログラミングを活かしたい場合は大手企業への就職はあまりお勧めしません。というのも大手企業ではほとんどの人はコーディングをせずにマネジメントよりのことをするからです。

プログラミングスキルを活かしたいという人は自分でコーディングしたい人が多いと思いますが、この点は大企業だと叶えることができません。

プログラミングスキルも数学と同様で、どんなに美しいコードを書いたとしても周りの人が文系ばかりだと理解してくれる人はいません。 理系の大学院などにいた人がこの点はイメージしにくいかと思いますが、理解できない技術に価値はないとみなされます。

ただこの限りではないような環境も一部存在するので後述します。

データサイエンティストは高度の専門性が身に付くか

データサイエンティストという専門性があれば一生食いっぱぐれないと思っている人も多いでしょう。この点について実務をこなした経験から語らせてもらいます。

結論、データサイエンティストを高度の専門性として身につけるためには一定レベルの才能と不断の努力が必要です。

データサイエンティストとして優秀になろうとすると数学かプログラミングのどちらかにおいて周りを凌駕するほどの能力が必要です。そしてそういったことができる人たちは学生時代から、「勉強しなくても数学はできた」といったタイプの人が多いです。近年データサイエンティスト分野への興味を持つ人が多いですが、実際活躍して技術力を発揮できる人は、やはり限られた人なのだと認識しておきましょう。

別の業界で状況が似ているのは、コンサルティング業界です。コンサルティング業界が人気ですが、一般的にイメージされるようなかっこいい仕事はできる人がごく一部であることに似ています。 ビジネス上の意思決定ができるのは、戦略コンサルや、 特定領域に高度な専門性を持っている人になります。 活躍できるのはごく一部、そういった心構えがデータサイエンティストでも大事です。

一流の環境に行くほどこの点を実感することになります。それでも自分は頑張ることができるのかをしっかりと考えておきましょう。 もちろん、意思決定ができないような作業者として、一生データサイエンティストをやっていくのであれば、食っていくだけなら可能かと思いますが、 そこを目指している人はほとんどいないはずです。

競争が激しい中で、高度な専門性を身に付ける覚悟を持ちましょう。 周りの人は、データサイエンスが好きで趣味感覚でやっている人や、 休みの日もずっとコンペをやっているような人も多いです。

データサイエンティストはやめとけと言われる理由2

データサイエンティストをやめとけと言われる理由の2つめは、「データサイエンティストを活用できる会社の少なさ」です。

データサイエンティストを活用できる会社とそうでない会社の違い

データサイエンティストとして幸せな人生を歩みたいのであれば就職先選びはとても大事です。データサイエンティストという一言でまとめられてしまいますが企業によってやっていることは全く違うということが多いです。

データサイエンティスト活用できる会社と活用できない会社は明確に分かれています。活用できていない会社は一時期のビッグデータブームに乗っかったものの現在は社内でデータサイエンティスト人材を持て余している状態です。

データサイエンティストが入社して幸せになれる会社、つまりデータサイエンティストを活用できている会社の特長は以下のようです。

・豊富なデータを取得することができる

・データサイエンスが社内で説得力を持つ

そうでない会社は、上記に当てはまらないものです。

データサイエンスを社内で活かす条件

上記の条件について、ひとつずつ解説します。

豊富なデータを取得することができる

データから導かれるアウトプットの質は元のデータに比例します。 データサイエンスはよく料理に例えられますが、腐った食材から美味しい料理を作ろうとしても限界があるのです。逆に良い食材があればある程度手を抜いていても美味しいものは出来上がります。

豊富なデータを取得できる企業の例は以下のようなものです。

・データ分析を専門とするコンサルティング企業

・社内連携の円滑なメガベンチャー

・データ分析で PDCA を回す文化が根付いている Web マーケティング企業

逆に豊富なデータを取得できないのは、部署間で壁がある大企業などです。どの程度のデータを元にして分析を行うことができるのかを調べてから入社することでミスマッチがなくなるでしょう。

データサイエンスが社内で説得力を持つ

データサイエンスが社内で説得力を持つこともとても大事です。

先ほど述べたようにデータサイエンスに対して理解がない人が多いと、社内のプレゼンにおいてもデータサイエンスを用いることができなくなってしまいます。すると力学的に考えて、データサイエンスに対して上司は稼働を割いてくれなくなります。 

データサイエンスが社内で説得力を持つ、という条件を満たす企業の例は以下のようなものです。

・理系大学院出身のメンバーが多い。顕著なものだとIT系企業の研究所など

・中小企業の場合は社長や役員が理系出身

・ データサイエンスを用いた成功事例がある

データサイエンスの「地位」が会社によって異なるので注意しましょう。

それでもデータサイエンティストになりたい人は何をすれば良いのか

ここまで読んでもデータサイエンティストになりたいと思った人には、今から以下に取り組むことをおすすめします。

業界・企業研究をする

今やるべきことはプログラミングではなくビジネスへの理解です。データサイエンティストを目指す人はもともと数学やプログラミングに興味がある人はほとんどだと思うので今更そちらをやることを私からはおすすめしません。

むしろビジネスへの理解を深めた方が将来的に仕事をしていて幸せになれるでしょう。どの業界はどんな方法で価値を生み出しているのか、興味の持てる業界はどこか。データサイエンスの将来的な伸びが期待できるのはどこか。

スキルは持っているだけでは意味がなく使い方が全てなので、興味の持てる業界について徹底的に研究をしてください。

実際にデータサイエンティストに会いに行く

データサイエンティストに10人以上会って話を聞きましょう。 まだまだデータサイエンティストについて一般的に公開されている情報は少ないです。

ネット上には情報が転がっているものの、専門家ではない人が執筆していたり、浅い知識に留まるものも多いです。やはり実際に働いている人に聞きに行くに越した事はありません。

その際に気をつけて欲しいのは、特定の業界や会社規模の人に集中してしまわないようにすることです。様々な業界の様々な会社規模の、様々なポジションの人に聞いてみましょう。

それぞれの視点からデータサイエンティストというものについて理解を深めることで、今までのイメージが変わっていくことに気づくことでしょう。

まとめ

データサイエンティストやめとけと言われる理由を説明しました。

しっかりと企業選びやデータサイエンティストの実際の働き方に触れることをすれば、データサイエンティストはとても面白い仕事です。

あなたの能力に合った職場を選べるように情報収集をこれからも頑張ってください!

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