「文系学部卒からデータサイエンティストとして新卒就活したいけれどインターンシップなどの実務経験がないから不安」
「研究やコンペなどでの実績がないけれど、文系でもデータサイエンティストとして就活は成功するの?」
こういったお悩みをよくいただきます。
データサイエンティストの新卒就活において間違いなく実務経験や実績が見られる機会はあります。しかしそういった実力証明がなくても文系から受かる企業もあります。
文系からでもデータサイエンティストになれるのかを今回は解説していきます。
高度な技術を求められる会社では理系がとても有利
データサイエンティストの専門企業の中でもハイレベル人材が揃うところでは間違いなく理系であることが有利に働きます。具体的な企業名を上げるとしたらエクサウィザーズやLINE、メルカリといった企業です。内定者の経歴を見てみると明らかですが理系の大学院卒が圧倒的多数を占めていることがわかります。コーディングテストの難易度も見てもこの辺りは明らかです。
LINEは過去のコーディングテストを公表していますが、問題を見てみると文系かつデータサイエンス未経験の人が通るような試験ではありません。
こういった企業では新卒への期待値として即戦力になることが前提になっています。故に給与水準も新卒時点から高く設定されているところが多いです。その意味では技術力を既に持っている人にとっては良い就職先です。ハイレベルな人材に囲まれて豊富なデータに対して自分の専門を生かした分析をすることができます。
ただ全ての人がこういった会社に入れるほどの実力があるわけではないでしょう。むしろデータサイエンティストとして新卒就活をする人の中でこういった企業に受かれる人はごく一部となります。
そこで以下では技術力を見られない企業の例も説明していきます。
技術力を見られない企業例
技術力をあまり必要としないのは他の能力が優先されるような企業です。例えばコンサルティング会社ではロジカルシンキングやコミュニケーションなどデータサイエンスよりも優先度が高いスキルが見られます。
そもそもコンサル自体が高学歴で地頭のいい学生を取るので、プログラミングや数学などのスキルに関しては後天的に習得可能であると考えているところも多いです。一方でロジカルシンキングなどは正直生まれつきやこれまでの育ち方によってある程度能力が固まっている部分もあります。新卒就活のポテンシャル採用においてはこういったすぐには変えられない生まれつきの素質が見られる傾向にあるのでその分技術力の優先度は低くなります。
コンサルに向いている人材の中でさらに技術力がある人を求めるとなると該当する人はとても少なくなってしまい採用基準数に満たなくなってしまうからです。
日系大手でも同様の考え方が見られます。あくまでジェネラリストとして最低限の素養を備えつつ技術に関しては伸びしろがある人が取られるといったイメージです。実際内定者の顔ぶれを見ても文系学部卒の内定者がいるのはこういった企業たちです。
技術力を見られない企業は具体的にどこなのかという質問もよくもらいますが、毎年内定者の顔ぶれが変わったり基準となる採用のレベルが変わってくるのでこの記事の中で説明したとしても来年には状況が変わっているかと思います。
あくまで予想ですが、今後さらにデータサイエンティストを目指す人が増える一方で、採用枠の数は比例して増えるわけではないので、競争は激化します。結果として、理系で採用枠が埋まってしまう状況が5年以内に実現すると思っています。もちろん、他の長所のある文系学部卒は別です。
どの程度の技術力があればいいのか
技術力には客観的な証明が必要です。ではどの程度の技術力があればデータサイエンティストの即戦力として見られることができるのでしょうか。
長期インターンシップの場合:実際に利益を生むレベル
まず長期インターンシップの場合を説明します。簡単に言うと利益に直結するような働きをするぐらいのレベルです。企業に即戦力として入社するということは入社後に実際に利益を生む人材になることと同義ですから、考えてみれば当たり前です。
数年前まではこの水準の人材は少なかったのですが、近年ベンチャー企業でデータサイエンティストの受託業をする企業が増えたことでそこで働くインターン生が増えました。インターン生のレベルのインフレ化が進み、学生ながら利益を生むレベルの貢献をする人が多数人材市場に溢れ出ています。
高い専門性を有する人が受かるような企業では、学生時代から社員顔負けの活躍をしていたという人も少なくはありません。もちろん数字としての利益は出ている必要はありませんが、社員並みの活躍というのが一つの目安にはなるでしょう。
このような成果を生んだ人であれば、文理関係なく企業から引くてあまたの人材になることができます。早めに就活に向けて学生時代に動くことが大事なのです。
研究の場合:学会で認められたり「〇〇賞」をとっているレベル
研究の場合だとどの程度の技術力があればいいのでしょうか。簡単に言うと旧帝大レベルの大学院の中でも、同級生の中で平均よりはできているようなレベルです。
もっと言うと学会である程度の成果を残していたりする人も多いです。また研究の場合は分野もとても大事です。入社希望の企業と親和性の高い分析ができるとみなされると有利です。
例えば異常検知や自動運転などの分野に関わる場合は画像解析の研究が有利に働きます。求められるレベルとしてはアカデミアの世界でちゃんと実力を発揮したと言えるぐらいの高い水準です。
今から何をすればいいのか
上記を踏まえた上で例えば文系の学部3年生がこれからサマーインターンシップに参加する場合はどうすればいいのかを説明していきます。
まずは短期インターンシップでデータサイエンティストの職種別のものに申し込むのが大事です。短期インターンシップであってもデータサイエンスをやる経験は成長につながりますし、ダイレクトに選考に有利に働いてくることもあります。
データサイエンティスト就活においてはインターンシップに参加することの重要性が極めて高いです。この記事で説明したような技術力がなくても早めに選考に応募して優先的に採用されるようなルートに乗ることで実力以上の会社に入社することも可能です。
技術力のギャップについては大学4年生になって就活が終わったタイミングで長期インターンに参加したり自己研鑽としてkaggleに挑戦するなど、様々なやり方があります。
技術力を一朝一夕に身につけるのはほとんど不可能です。情報系の学生は4年間かけて月曜日から金曜日まで死に物狂いで情報系の勉強をしています。大学院生も四六時中情報系のことを考えています。そんな人たちに対して就活対策と題して1年間で情報系の技術を詰め込むなんておこがましいにも程があります。
なので大事なのは別の戦い方をすることです。幸いなことにデータサイエンティストの新卒採用はポテンシャル採用で見てくれるところや技術力を現時点ではあまり見られないところもたくさんあります。そういった企業の名前を調べて照準を絞って先行対策をすることで文系かつ学部卒からでもデータサイエンティストになる機会はたくさんあります。
コンサルや日系企業に照準を絞った上で、インターンに参加して他の部分でもアピールを身につける。これが最適解です。
戦略次第で文系学部卒でも、データサイエンティストになることができます。そして、実務能力としては入社後3年もすれば文系も理系もだいぶ差は無くなってきます。文系でもデータサイエンティストを諦めずに、頑張ってください!